! <注意事項> !
・時期としては、斉撲滅大戦争(そんな正式名称じゃない)の数年前を想定して書いています。
・ギスギスです。
・とにかくギスギスです。
・一介の外交官と雇い主の会話です。本当ですったら。
・文字が赤いのが蘇代のセリフ、茶色なのが昭王のセリフです。


      ではどうぞ〜。

          ↓






1.まずはお二人の自己紹介をお願いします

昭「私は姫平、この燕で王位に就いている」

蘇「私は蘇代といいます。
 各国を巡り歩き先々で依頼を受けて外交手法など助言するのが本領ですが、今はこちらの王の
 ご威光に打たれ、専ら燕国の利に適うよう他国へ働きかけを行う毎日でございます」


昭「ははは、ご威光に打たれたと来たかはっはっは(半眼)」


2.では、今度はお互いを簡単に紹介してみてください

昭「決まっている。数十年前我が国に最低最悪の危機をもたらした発端の詐欺師だ」

蘇「身も蓋もありませんねえ」

昭「うん?それ以外にどう言えと?」

蘇「いいえ何でも。そうですね、我が君こそは正に英君と呼ぶに相応しい、
 知力と胆力を兼ね備えたお方ですね。 常に国力の安定を思い、人心を掌握する術もご存知です」


昭「ふん。随分と持ち上げたものだな」



3.そんなお二人の間柄を一言で説明すると?

昭「主従だな。…今のところは、だが」

蘇「主従ですね。今のところはというか、まぁ…王が望む限りは、ですね」

昭「自分の立場が良く分かっていて結構な事だ」



4.お二人は、いつ何処でどのように出会いましたか?

昭「この男が子之の用聞きをするようになってすぐの頃だったと思うが。庭を挟んで遠くから、な」

蘇「あらそうですか。あの時ですね。覚えておりますよ、あからさまに不審そうな貴方様のお顔を」


昭「若造で国政に碌な影響力のなかった、当時の自分が悔しいな」

蘇「ご自身を卑下なさる事はありませんよ。
 それに、私はそれより以前に貴方様にお会いしたことがあります」

昭「何、いつの話だ?記憶に無いんだが」


蘇「まだうちの兄が存命の頃ですね、いやあ古い古い。
 貴方は車の中で、私はそれを路傍で人ごみの中から目撃した、とまあそれだけの話です」


昭「そんなものこっちが知る訳ないだろう」

蘇「ごもっともで」


5.そのときと今とで、お二人の関係は変わりましたか?

昭「庭越しに対峙したあの頃と今とでは、私の立場が違う。
 今の私には王位があり、対するお前は臣下だ。…この意味は解るな?」

蘇「ええ、私を誅するも自害を迫るも貴方様の気分次第、という事がね!」



6.今後もその関係は変わらないと思いますか?


蘇「ま…、殺されるのは真っ平ですのでね。現状維持の努力はしましょう?」


昭「本音を言うなら、さっさとこんな関係はご破算にしたいものだがな。それはまだ先の話だ」


蘇「食い扶持が稼げて有難いことです。で、参考までにお聞きしますが、
 本願が叶った場合はあれですか、狡兎死して走狗何とやら系をご所望ですか」


昭「やかましい、十年早いわ。そんなものいっぱしに成果を上げてから言え」


7.これまで相手からされた事で、感動した、またはムカついたエピソードはありますか?

昭「…改めて言う必要があるか?これは正直、語りながらお前を殴らないでいられる自信がないんだが」

蘇「ありませんね。私もまだ耄碌してはおりませんので。
 ところで眼付きが尋常でなく尖ってますが、顔の筋肉疲れませんか、それ」


昭「よし分かった、前言撤回だ。語ろうが語るまいがお前を殴りたい。今すぐにだ」


8.では、相手に「これだけは忠告しておきたい」という点はありますか?

蘇「ですから顔の筋肉疲れませんか」

昭「どうでもいい事を二度言ったな」

蘇「重要なことですよ。斉への報復という大きな望みと、国君としての重責とが、
 貴方様を駆り立て、また輝かせもする。しかし貴方様がそれだけの方とも思えない」


昭「何が言いたい?」

蘇「心底にあるお優しさと、誰にも深く心を委ねられない環境との乖離は大きいのではないですか」

昭「…。千歩譲って、仮に私が優しい性格を有しているとして、それがお前の懸念だと言いたい訳か?」

蘇「ええ、ただし貴方が考えている様な意味でありません」

昭「?」

蘇「貴方にとって本願の成就は時間との戦いだ。先にご自分の命が尽きないとも限らない。
 しかし貴方には、太子にご自身の本願を丸投げすることが出来ますか?」


昭「――!」

蘇「すれば貴方には二つの苦しみが生まれる。
 太子にそれが成し遂げられるか。そして何より太子にご自身の」


昭「黙れ」


9.ちょっと、相手を褒め称えてみて下さい

昭「…はあ、まあいい。お前の長所か?まずは多くの国君や貴顕に顔が利くところ。
 そして何より、実際に各国で頼りにされて来たその洞察力と機転、説得術だな。
 実力があると見込まなければ、当然ながら燕に呼びつける事もない」


蘇「あの、猛烈に感動していいですか」


昭「猛烈に感動するお前…。想像してみたが胡散臭い、の一言だな」


蘇「実績が認められれば誰だって素直に嬉しいですよ。
 やはり我が見込んだ君、人を正しく見抜いて力量を評価し用いる事において、
 当世これ以上のお方は望むべくもありません」


昭「自分で言うのか、それを!」


10.それでは、今度は相手をけなしてみて下さい

蘇「え…。そんな、私に王をいい歳こいて眼のギラついた万年復讐鬼だなんて、
 そんな恐れ多い事言えませんっ!」


昭「言ってるがな。しかも限りなく楽しそうに」


蘇「王は、まあ…私をけなすのは日常茶飯事ですね」

昭「ああ。できれば毎日きっちり朝・昼・晩、が望ましい」

蘇「ご利用は計画的に!」


11.休日にバッタリ外で出会ったら、何をして過ごしますか?

昭「無視。剣の稽古。我が国復興前の悲惨な昔話に付き合う。どれが良い?」

蘇「どれも謹んで遠慮します」



12.「これでなら相手に勝てる!」というものはありますか?

昭「権力。」

蘇「そんな身も蓋も無い。ま…、外交の勘、とでも自惚れてみましょうかね」



13.逆に「これは相手に敵わない!」というものはありますか?


昭「詭弁・屁理屈・言いくるめ。」


蘇「もっと他の言い方もあるような気がしませんか」


昭「無いな。生憎、私はお前と違って表現の手持ちが少ないんでな」

蘇「さいですか」


14.相手のイメージカラーは何だと思いますか?

昭「暗くて深くて底知れない…あー…赤?」

蘇「王は日の光のようです。人を和ませ勇気付け焼き尽くすような」


昭「なんだそれは…」



15.相手の異性の好みはどんなタイプだと思いますか?

昭「知るか」

蘇「すごい興味の無さですね」


昭「ふん。まあそうだな、真面目に答えるなら…ええと、同類?」


蘇「適当に答えましたね。どういう意味ですか」


昭「そのまんまだ。口数は多いくせに本心は明かさない、みたいな」


蘇「何言ってるんですか。いつも本心ですよ。王の好みは…郭隗様と亜卿を足して二で割ったような?」

昭「それこそどんな女だ!お前こそ適当に言ってるんじゃないのか。どういう意味だ」

蘇「そのままですよ。王に優しくて、頭の回転は速く無駄口は叩かず、心身ともに健康で、
 何より王の大望を心から理解して傍で微笑んでくれる人です」


昭「う…ううむ。まあ嫌いではない、が」

蘇「あ。考えてみればこの人物像って、性別無視すれば私そのものじゃないですか?」

昭「断じて違うと一言言っておこう」


16.相手は、自分の目から見ても世間的に見られている通りの人物だと思いますか?


蘇「世間一般というか、中原から見れば斉や趙に頭の上がらないド田舎の苦労人、
 といった印象でしょうか」


昭「はは。それで良いさ、今はそれで十分だ」

蘇「言わずもがな、今は本心を他国に悟られる訳には参りませんからね」

昭「お前の人物は…、あー…」

蘇「言い淀むなど珍しいですね。王にとって、私は信頼の置けない、
 本心不明の能弁家。印象は昔からそうでしょう?」


昭「そうだな。だが時々、ほんっっっの時々、それだけでもないと感じる事も」

蘇「あるんですか?」

昭「あるような、無いような…」

蘇「(ガクー)」


17.相手がもし先に死んだとして、そのときの自分を想像できますか?

蘇「私の立場でそれを言うのは恐れ多いですね」

昭「お前がそんなタマか。私ははっきり言えるぞ。今お前に死なれたら困る」


蘇「それはそうでしょうね」

昭「だが私の生涯の望みが叶った暁には、話は別だ」

蘇「ご自身で私の人生に幕を下ろしたいですか、と興味本位で聞いてもよござんすか」

昭「それも心惹かれるがな。今の所第一希望は、何処か遠い異国で出来るだけ苦しんで死なんかなと」

蘇「おや。私はどうやら少しばかり出世したようですね」


18.質問も終わりに近づき、これまで相手について色々語っていただきましたが、
  かく言う貴方は人を見る目に自信がありますか?


蘇「無かったら大変ですね」

昭「全くだ。大体それ以前に、もし無かったらお前も郭隗も亜卿もうちには寄り付かないだろう」


蘇「その通りで」


昭「(アッサリ言いおったな…)」



19.それでは最後に、相手に何か言い残したいことがありましたらどうぞ

蘇「勿論我が掛け替えのない主君、この身に代えても忠節を尽くすのみでございます」

昭「…と言われてとっさに浮かぶ感情が八割方疑念な訳だが、…こいつをどう思う?」


蘇「すごく…悲しいです」


昭「いい返事だ。そうだな、忠節はともかく、成果ぐらいは期待するかな。しても、良いんだろう?」

蘇「無論でございます」


20.(これは管理人様への質問です)このコンビへの思い入れ等ありましたら、この機会にどうぞ

双方、軽口は達者なので、期待通りぺらぺら喋ってくれました。
見ての通りのギスギス主従関係です。
私としては、この位のアレな感じが好きなんですが…。賛同は得られないだろうな、コレ(笑)
蘇代は揣摩の術マスター済で昭王の事を、王自身が気付かない所まで
洞察していそうな気がしますが、関係性故にあまり言うと藪蛇なので、小出しな感じです。
多分、対談相手が蘇代じゃなくて楽毅とかだったら、王の態度はかなり違います。

まあ…、一応こんなんでもお互いに今は無くてはならない存在だと、思っている筈、です?(どっちだよ)

長々とお付き合いいただき、本当に有難うございました!


左が昭王で右が蘇代。雇い主と、上卿というか外交官。

2011.11.18
FRI

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